たまに記録

備忘録です。興味のわいたことについて調べた内容を記録していきます。

リュソンビの婚礼式(韓国/2021年)

期せずして涙

 

◆概要◆
[原題] 류선비의 혼례식 リュソンビの婚礼式 ('21)
[制作] Moving Pictures Company
     Emotion Studio
     コンテンツ専門制作流通ブランド「アイドルロマンス」第2弾
[出演] カン・インス・・・リュ・ホソン
     イ・セジン・・・チェ・ギワン
     チャン・ウィス・・・キム・テヒョン
 
ウェブドラマ版、映画版どちらも視聴。
映画版には、ドラマ版ではカットされているシーンも含まれており、ドラマ版では視聴中に感情の流れが飛んだような場面、説明不足の場面がいくつかあったが、それが映画版では解消されている。しかし、物語の起伏ごとに、いったん区切りながら視聴する、余韻を楽しむ「間」があるドラマ版の視聴も、よい。
以下の感想には、ドラマ版でカットされたシーンへの言及もあるかもしれない。

この作品を見て、まずイ・セジンくんに衝撃を受ける。
セジンくんの楚々とした美貌は驚嘆に値する。知的で可憐な容貌に、女性らしくはないが、荒々しくもない絶妙な立ち居振る舞い、役作りで絞ったという華奢な体躯。
テヒョンが物語の中で「神秘的」と言っていたが、まさに。
女装で皆をだますという設定だが、全く違和感がない。本当に可愛い。視聴を続けるうちに惹きつけられていき、まさしくホソンの気持ちの変化に視聴者も違和感なく乗せられてしまう。

ギワン演じるイ・セジンくんを愛でるだけでも一見の価値がある物語。
そして、カン・インスくんの誠実な雰囲気も、この物語の根底に流れる優しさの空気感を支えていた。
その二人の中に、武骨さと茶目っ気を投入したチャン・ウィスくんが、物語の中でよく‘’効いて‘’いた。
あり得ない設定かもしれないけれど、そんな中だからこそ、とびきりのロマンスは描けるのだな。

妹が見つかるまでの、仮初めの夫婦であった二人。
そんな二人は、様々な困難を乗り越えていくうちに、お互いへの愛をゆっくりと確かに育てていく。
その愛を育てたのは、紛れもなくお互いの人柄で。
ホソンの優しさと度量、懐の大きさ。
ギワンのたくましさと、健気さ、いじらしさ。
そして、何より、お互いがお互いへと示す思いやり。
けれど、やけどのシーンで、お互いへの気持ちの自覚が見えた次の瞬間には、妹が見つかり、事態は動き出す。

ホソンが
ギワンの妹にギワンのこれまでの苦労をぶつけ
ギワンの父であるチェ大監に「キワンさんこそが私の妻と言えます」と宣言し
ギワン自身に「そなたは私の許嫁ではなかったが、私の妻だった」と伝える。
そして、ギワンの一筋の涙。
この一連のシーンの流れに感情を持って行かれた。

失くしてしまった本のように、一度は「しかたがない」と二人の関係を諦めたホソンとギワンだったけれど・・・。

義母からいただき、ホソンが絵を描いた色むらのある衣。
天である夫、ホソンから、地である妻、ギワンに贈られた本。
二人が夫婦であった時間は短かったかもしれないけれど、その間に二人で作った思い出や関係は確かに存在していて、二つの贈り物が、その思い出を呼び起こす二人のよすがとなって、二人をもう一度結びつけてくれる。
そして、義母の「会いたい人が先に会いに行くもの」という言葉に後押しされて、ギワンがホソンの元へ駆けつけるシーンではカタルシスを感じる。
テヒョンも憎い、いい動きをしてくれ、日参横恋慕の手紙かと思いきや、ホソンの居場所が書かれているであろう手紙を渡してくれる。

短く、少ない話数で進んでいくから、大きな事件も起こらず、その事件も解決までには時間がかからないから、物語として大きなうねりはないのかもしれない。
けれど、二人の感情が変化する機会、感情が動く瞬間、感情を暗示する小物、そして多くの伏線が物語の中には示されていた。
ホソンとギワンの二人にとって、そして視聴者にとっても必要なエピソードは、十分に散りばめられていた。

二人にとっての「正しい道」がいつしか変化し、
最後の場面で、今の二人が思う「正しい道」へと進んでいく、その様を見せてもらった。万感の思いがこもった口づけ。
 
・手のやけどシーン以降は、切なさが溢れて涙が止まらない。
・時代劇にしたことで、韓国の伝統美の中で育まれる恋愛模様に美しさと奥ゆかしさを感じられる。
OSTはどれもいいけど、カン・インスくんが歌うOSTは情感が漂い、胸を打つ。
・ギワンは、千字文の本はわざと置いてきたのか。本の中を見て、自らの思いを伝えたかったか。何にしても、二人をつなぐ贈り物が、それぞれの手元にあるという設定は大事だっただろう。
・りんご=謝罪(韓国語の発音)を知らなくて、ホソンのリンゴの絵やギワンが持参したリンゴを見て「リンゴ→罪→キリスト教→韓国だからか・・・→時代は!?1700年代?」と思っていた。チョゴリの長さからして、1700年代・・・かな?
・制作費の少なさが見え隠れしていた(部屋の中、下人など)けれど、それを表だって気にさせない映像美だった。カメラワークや役者の演技がそれを感じさせなかった。
・脚本が練られている・・・。さすが韓国・・・。
 
短いながらも考え尽くされた純愛物語

 

私的印象度

・王道度・・・🌷🌷🌷
・純愛度・・・🌷🌷🌷
・必涙度・・・🌷🌷🌷