たまに記録

備忘録です。興味のわいたことについて調べた内容を記録していきます。

山河令 私的覚書⑦

第七話「江湖の雑魚」

 

ツンデレ
「有道是顏如桃李 心如心如蛇蝎」 
「顔は桃や李のように艶美 心は蛇や蠍のように悪辣」
→「顏若桃李 心如蛇蝎」 『神鵰俠侶』金庸('59)

「李莫愁」を形容した言葉。江湖に名だたる悪女。「赤練仙子」の異名で恐れられる。恋人に捨てられた恨みから、世の中全ての男を憎むようになる。美女。

 

◆十八模 ◆
伝統的な中国の民謡。下品でエロチックな性質を持っているので清朝の時代には何度も禁止されている。
男性、女性、デュエットの種類がある。髪に触れるところから始まり、次にうなじ、その後、色々なところに触れていき、親密さを増していく。
女性バージョンでは、女性が男性に様々な場所に触れることを許しながら誘惑してみたり、男性バージョンの中には、女性が男性に触れることを許したときに、男性が何らかのご褒美を約束して誘惑したりするというものがある。
デュエットではお互い誘惑したり触ったりしながら歌う。
「そこで君に触れられない。もし触れたら、君は幸せで死ぬだろう」
「君の○○に手を触れて」で始まるフレーズ。本来は内容を少しずつ違えながら
十八回繰り返されるが中には十回や十六回のものもある。一応の形式はあるが、
囃子部分や曲調は一定しない。
時代が下ると「○○十八摸」として季節の花を詠みこんだもの、その土地の名物を詠みこんだもの、時事や事件を詠みこんだものなど様々なものが数多く生まれる。

 

◆顧湘という名前 顧湘=故乡gùxiāng
曹蔚寧の説明には「楚辞」と「湘夫人」が混ざっている。
「九嶷缤兮併迎 霊之来兮如雲」「九嶷の神々 居並び 雲のごとく霊 来る」
→「九嶷の山から、湘夫人を迎えにやって来て、神々が群がり来るさまは、あたかも雲のようだ」
『楚辞 九歌第二 湘夫人』 ※『楚辞』の代表詩人が屈原

老温「『湘夫人』と『洛神賦』を混同しては屈原が怒るぞ」
  
「飄飄兮若流風之飛雪」「流風に雪が舞うごとし」
※正しくは「飘飘兮若流风之回雪」 曹植『洛神賦』

湘夫人…『楚辞 九歌篇』に歌われる女神。湖南省にある湘水の神。また洞庭湖の水神でもあり湖中の君山にその祠廟がある。
堯帝の二人の娘、姉の娥皇と妹の女英はともに舜帝の妃となったが、舜帝が没した時、その後を追って湘水に身を投げて死に水神になったという。姉を湘君、妹を湘夫人と呼ぶ。また、湘君を男神、湘夫人を女神とし、二人を夫婦とする説もある。

 

◆イケメン ◆
「头先在街上 我见到一位秀的书生 他与我擦肩而过冲 我笑了笑 誰知道卿本佳人 奈何做賊呀」
「先日 整った顔立ちの書生に肩がぶつかり会釈された。まさか落ちぶれた盗っ人だったとはな」
→「通りで、イケメンの書生を見かけた。彼は肩がぶつかり私に微笑みかけた。美人が泥棒になるなんて誰がわかる」

方不知は、秀的でも、佳人でもないし、微笑みかけられてもいないのに、敢えてこのように言っている。方不知に盗ませた事実を、阿絮に薄々気づかれていることも踏まえながら、事実を、からかい混じりに、むしろ道化を気取って大げさに言っているのだろうか?(まさか、盗ませたことのごまかしで言っているのではないだろう)
そして、方不知に銭入れを盗まれた曹蔚寧に、密かに呆れる老温。

 

◆ただ者に改変◆
「我早就说过 他绝非凡品」「やはり ただ者ではなかった」
→「我早就说过 他必是美人」「言ったとおり 彼は美人だった」